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2006/04/17 (Mon)
西澤 哲さん 子どものトラウマ(講談社現代新書)


黄色の表紙とサブタイトルの『心を回復するために』という文字が印象的な
190ページの薄いシンプルな本です。

『トラウマ』とはどういうもので
どんなふうに形成され
どのように「自己」に影響していくのか
トラウマを癒すにはどうしていくか
そしてそれにはどういう意味があるのか

等、とてもわかりやすく的確な言葉で書かれています。


悲しいことや嬉しいことがあったとき、
そのときは本当に悲しくて心がつぶれてしまうんじゃないか、、と感じたり
嬉しくて嬉しくて天にも昇るような気持ちになったりします。

でも、
その気持ちが永遠にいつまでも続くわけではなくて
時間とともにだんだん薄らいでいくのはどうしてなのかというと、
悲しい気持ちや嬉しい気持ちを味わって感じていく、、ということを
何度も何度も繰り返していくうちに
自分の心の中で消化していき「過去のもの」としてとらえるようになるから
なのだそうです。


では、『トラウマ』というものはどういうものなのでしょう。

 ***

 「その体験が自分の認知的な枠組みに組み込まれない段階では、その記憶は
  それに対して起こったさまざまな反応とともに、一つの組織体として存在
  することになる。」
 「何らかの理由でこうしたショッキングな体験の記憶が意識に統合されない場合
  これらのショック体験の記憶やそのときに生じたさまざまな反応が一つのかたまり
  としてトラウマとよぱれるようになる。」

             ***「子どものトラウマ」より抜粋


本来なら何度もその感情を体験しながら自分の心に消化吸収していくことが
そうできずに心の中の異物として残ってしまい
いつまでも心の中に持ち続けることになってしまう。。
というのが
『トラウマ』が形成されるメカニズムであり、
また、とても大きなショックを心に与えた体験が
人の心の処理能力を超えてしまうものだったり
その人自身の心が弱っていてその体験を消化吸収していける状態でなかったとき
その体験はその人の心に「瞬間冷凍」されて、
そして何かのきっかけで
その凍った体験が溶け出したときにパニックに陥ってしまう常態を
『フラッシュバック』と呼ぶのだそうです。

そして、トラウマが癒えるということは
「その体験を過去のものとして自分の歴史の一ページに書き込むこと」
だと著者は書いています。


著者の西澤哲さんは、
大学教授で虐待などでトラウマを受けた子どもたちなどの
心理臨床活動をされている方です。

虐待を受けながら育った子どもたちの心にどんな影響があって
どうして虐待は世代間連鎖をしていくのか、
どうしたらその連鎖を断ち切っていくことができるのか、、等
この本を読んでいくと少しずつ見えてくるような気がします。

また、虐待に関わらず
なんだかわからないけれど心にもやもやしたものを抱えながら
生き辛い毎日を送っている人たちにとっても
この本に書かれていることが何かを変えていくきっかけになるのではないかな、、
そんな感じがしています。

人の心に携わろうとされている方には
ぜひ読んで欲しいと心から思う一冊です。





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